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5.日本の商品取引所について

一般に取引所の設立には所管官庁の許可が必要です。運営は取引所の自主規制に委ねられますが、一般投資家の保護及び公正な価格形成という公共的役割を有するためさまざまな公的規制を受けています。
日本には、経済産業省・農林水産省の所管により以下の2つの商品取引所が存在しています(平成28年10月21日現在)。

日本国内の商品取引所
名称 株式会社東京商品取引所 大阪堂島商品取引所
所在地 東京都中央区日本橋堀留町1-10-7 大阪府大阪市西区阿波座1丁目10番14号
上場商品 金(標準・ミニ・限日・オプション)、銀、白金(標準・ミニ)、パラジウム、ゴム、東京バージガソリン、東京バージ灯油、東京バージ軽油、ドバイ原油、中京ローリーガソリン、中京ローリー灯油、とうもろこし、一般大豆、灯油(以上18品目) 東京コメ、大阪コメ、新潟コシヒカリ、とうもろこし、米国産大豆、小豆、コーン75指数、冷凍エビ、粗糖(以上9品目)
所管官庁経済産業省、農林水産省農林水産省
取引仕法板合せザラバ方式板寄(いたよせ)方式
取引時間 夜間立会:午後4時30分から翌暦日午前5時30分まで
日中立会:午前8時45分から午後3時15分まで
午前9時から午後3時30分頃まで
■ 取引仕法

取引所に集まった売買注文について約定値段を決定する方法を「取引仕法」といいます。
日本の商品取引所が採用している方法には「ザラバ方式」「板寄(いたよせ)方式」の2つがあります。またザラバ方式の取引開始時点の価格決定方法として採用されている「板合せ方式」と呼ばれるものもあります。

■ ザラバ仕法

一定の取引時間内に市場に出された注文を「価格優先・時間優先の原則」に従って売り注文と買い注文の条件が合致する都度、約定させていく取引仕法であり、市況の変動に即応して刻々と時価が変化していきます(複数約定)。

現在世界の取引所で最も一般に行われています。

「価格優先・時間優先の原則」 は「価格優先の原則」「時間優先原則」に区分することができ、その内容は左の通りです。

■ 板寄仕法

一定の時刻に集中的に競りを行い、取引所が提示した仮の価格に対して注文が出され、売り買いの注文数量が一致した価格で全ての注文を約定させる方式です。価格が決定するまでの間、取引所は売り買いの注文数量のバランスに応じて提示価格を上下させますが、最終的に売買数量が一致した価格の一本値で全ての約定を成立させます(単一約定)。


売り方は甲の20枚だけであるのに対し買い方はA~Eの計60枚であり、売りと買いの注文量が一致しないためこの値段では約定しない。


売り方は甲の20枚に、乙の10枚が加わり30枚になった。これ対し買い方はEが撤退してA~Dの計50枚となり、売りと買いのギャップは縮まったものの依然として注文量が一致しないためこの値段では約定しない。


売り方は甲20枚、乙10枚に丙15枚が加わり45枚になった。これ対し買い方はDが撤退してA~Cの計40枚となり、売りと買いのギャップは更に縮まったものの依然として注文量が一致しない。


買い方Aが成行買いの枚数を5枚増やして30枚に変更した。これで売りと買いの注文枚数はともに45枚となり、100円で約定した。この結果には買い方のA~C、売り方の甲~丙の全員が満足しているはずである。

■ 板合せ仕法

一定の時刻までに出された注文を対象として、約定枚数が最大になる価格で、約定可能なすべての注文を約定させる取引仕法です。板寄仕法とよく似ていますが、板寄仕法が取引開始後に注文を出させて注文の追加や取消しによって「売買注文の枚数が一致した価格」で約定させるのに対して、板合せでは取引開始前に市場に出された注文だけを対象として「約定可能枚数が最大となる価格」で約定させる点です。

左の例では96円で80枚の注文が約定します。*印が付された数字は、その価格で何枚が約定可能かを表したものです。そうすると約定可能枚数が最大になるのは96円の80枚ということになります。

約定するのは、買い方では成行買注文30枚と96円以上の指値買注文50枚、売り方では成行売注文20枚と95円以下の指値売注文の35枚、そして96円の売指値注文30枚のうち注文を出した時刻が古い順に25枚が約定します。

■ 取引要綱