【セミナー全景】

【セミナーの概要】
<背景>
近年、原油、金属、穀物などの原材料価格が急騰・急落を演じ、企業経営を困難にしています。特に中小事業者は、過当競争や伝統的な下請け構造などの理由から、価格上昇場面ではコスト増の販売価格への転嫁が難しく、下落場面ではライバル企業との価格競争で仕入れコスト低下のメリットを享受できない現実があります。
一方、今年(平成21年)7月に国会を通過し、10月から段階的に施行されている改正商品取引所法(最終施行時には『商品先物取引法』に名称変更)は、「使いやすい」「透明な」「トラブルのない」商品先物市場の構築を柱に掲げています。このうち「使いやすい」について、改正法立案の根拠となった産業構造審議会商品取引所分科会は、同年2月にまとめた報告書の中でその主体を「事業者等にとって」と記述。さらに商品先物市場には「価格ヘッジや現物受け渡し等の機能が、事業者の経営の安定、わが国の産業競争力の強化に寄与することが期待される」と続けています。
<ヘッジ研究会と検討会>
こうした流れの中で当会は、事業者の中でもとりわけ中小事業者が商品先物市場を利用して事業を円滑化するうえでの課題及び解決策を検討するために「中小事業者等の商品市場利用に関する研究会」を平成20年10月に設置。同年12月に研究会が報告書でまとめた結論を具体化するために、21年2月からは「ヘッジ取引普及検討会」を組織し、さらなる検討を重ねているところです。
今回開催した『虎ノ門セミナー』の運営主体である中小企業基盤整備機構は、主に中小事業者の事業活動を活性化する目的(*)で設立された団体です。当会は中小企業基盤整備機構の協力を受けながらヘッジ取引の知識普及を目指し、「ヘッジ取引普及検討会」委員の中から2名の講師を派遣しました。
* 中小企業基盤整備機構は中小企業者等の事業活動に必要な助言、研修、資金の貸付け、出資、助成および債務の保証、地域における施設の整備、共済制度の運営等の事業を行うことで事業活動活性化のための基盤の整備に貢献。
<講 演>
セミナーは1部「経営の高度化とリスク管理」(講師:長岡(ながおか)勝美(まさみ)氏)と2部「商品先物市場を活用したリスクヘッジ」(同:小野里光博氏)で全体を構成しています。
1部では、中小事業者によるヘッジ取引の実践には経営管理を高度化しリスク管理能力を高めることが不可欠との前提に立ち、そのためには内部統制を充実化することで@業務の有効性と効率性、A財務報告の信頼性、Bコンプライアンス、C資産の保全――を図ることの重要性を説明。さらにその実施に向けた具体的なステップを解説しています。
第2部では、商品先物取引・市場の基礎、損益のしくみに始まり、商品先物市場を用いた価格変動リスク回避のためのヘッジ取引の効用やノウハウを、現物取引や先渡し取引と比較しながら説明しました。
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▲「経営の高度化とリスク管理」を講演する長岡勝美氏
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▲「商品先物市場を活用したリスクヘッジ」を講演する小野里光博氏
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【セミナー詳細】
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