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8.主要な上場商品の特性と価格変動要因

■ ゴムの価格変動要因

ゴムには、天然ゴムと合成ゴムと呼ばれるものがあります。
天然ゴムとは、ゴムノキの樹液から製造しているゴムのことを言います。
合成ゴムとは、主に原油を精製(蒸留)したナフサ(粗製ガソリン)をもとに作られたエチレン、ベンゼン、トルエン等から製造したものをいいます。

東京商品取引所に上場しているゴムは、天然ゴムです。天然ゴムの中で「RSS(Ribbed Smoked Sheet)3号」と呼ばれるものを取引しています。

天然ゴムの生産は、東南アジア、アフリカ、中南米といった赤道を挟んだ南北緯度15度付近の高温で多湿な地域で行われています。

2013年の世界全体の天然ゴム生産量は11,966千トンでした。このうち東南アジアの生産割合が世界全体の75%程度、なかでもタイ、インドネシアの2か国で世界全体の約60%を生産しています。

タイは天然ゴム産業を国の基幹産業としています。タイ政府がゴム樹栽培の面積拡大策や高収量品種の普及策、また土壌研究やゴム樹の植え替えを積極的に行っていることから、年々生産量が伸びています。

インドネシアは労働人口に恵まれており生産量が増加傾向にあります。しかし他の主要生産国と比較して、農地の整備が遅れているなど生産インフラが未整備なため、この点が改善されれば、今後の増産が期待できます。

天然ゴムの最大の消費用途は自動車用タイヤです。このためゴム消費予測を行う場合、自動車の生産台数に注意する必要があります。
世界の自動車生産台数は、増加傾向にあります。
なかでも中国の自動車生産量が急増しており、1997年は158万台だったものが、2015年は2,450万台となりました。

天然ゴムの最大用途は自動車用タイヤです。
例えば、日本では、天然ゴムの約90%を自動車用タイヤとして消費しています。
このため、ゴムの消費量や価格の変動を予測する際は、自動車用タイヤの生産量の増減について注目する必要があります。

原油価格の変動が天然ゴム価格に影響を与えることがあります。

タイヤメーカー等は、天然ゴム価格が高騰を続けると、需要を合成ゴムに切り替えることがあります。
逆に、合成ゴムの価格が上昇すると、安価な天然ゴムにシフトするケースも出てきます。

2012年1月~2013年12月、2014年12月~2016年4月の期間を見ると東京ゴムの価格と原油の価格の間には一定の連動性があるように見受けられます。

※2014年の原油のイレギュラーな価格変動について
2014年の原油は世界的に供給過多な状況でしたが、OPEC(石油輸出国機構)は減産を見送りました。
この結果、2014年9月~11月にかけて大幅な下落をしました。