topへ

8.主要な上場商品の特性と価格変動要因

■ 原油の価格変動要因

原油とは、油田から採掘されたままの状態の未精製の石油のことです。
石油とは、炭化水素を主成分として、ほかに少量の硫黄・酸素・窒素などさまざまな物質を含む可燃性物質の総称で、原油の他に、天然ガスやアスファルトを含めて石油と呼ぶこともあります。
また、日常的な言葉としてガゾリンや灯油、軽油等の石油製品を指す言葉として用いられる場合もあります。

原油の主要な価格変動要因は以下の通りです。

地球上で確認できている確認埋蔵量は約1兆7,000億バレル(2015年末時点、1バレル=159リットル)と言われています。
このうち、中東諸国の埋蔵量が約6割であるとされます。
可採年数は約50年とされていますが、新たな油田の発見や開発・採掘技術の進歩、原油価格の上昇もあり、近年ほぼ横ばいが続いています。
※ただし、シェールオイルやオイルサンドなどの非在来型も含めた石油資源の現在の可採埋蔵量は飛躍的に増加しており、それも含めると150年以上と推計されています。

近年、世界の原油生産量は増加傾向にあります。
原油生産の中心は、サウジアラビアを中心とした中東諸国で、世界の産油量の30%程度が中東地域で生産されています。

OPECは依然と比べて原油価格の決定に関する影響力が低下したものの、依然として一定の影響力を保持しています。

1970年代の前半は中東諸国が中心となり組織したOPEC(石油輸出国機構)の産油量が世界の約半分を占めていたため、OPECが原油価格の決定に大きな影響力を有していました。
その後、

  • 原油価格の大幅な引き上げにより勃発した石油危機、
  • 1980年代の北海油田(英国、ノルウェー)の開発、
  • 2000年以降の中南米(ブラジル、コロンビア等)の油田開発、
  • カナダのオイルサンドの発見、
  • 米国のシェールオイル生産の本格化、
  • 各国で原油の代わりとなるエネルギー(バイオエタノール等)の登場

などにより、OPECが原油価格に与える影響力は徐々に低下しつつあります。

日本はほぼ100%に近い状態で原油を輸入に依存し、このうち中東諸国からの輸入が80%以上を占めています。
中東地域は政治的に不安定な地域であるため、これまで石油危機や湾岸戦争、政変等による影響をしばしば受けてきました。
原油の取引をおこなう際は、この点に注意する必要があります。

世界の原油需要は、中国や発展途上国を中心として伸びていることから、増加傾向にありますが、先進国の原油需要は省エネ技術の進展などエネルギー効率が向上したことなどが原因で減少傾向にあります。

東京商品取引所に上場しているドバイ原油の価格は、CMEグループのニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されているWTI原油やアラブ首長国連邦で産出されるドバイ原油のスポット価格との連動性が高いとされています。このため、海外市場の価格動向に注意する必要があります。

グラフは2012年1月~2016年3月の東京ドバイ原油とニューヨーク原油の価格推移です。
両者の間に連動性があることがうかがえます。