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8.主要な上場商品の特性と価格変動要因

■ 一般大豆の価格変動要因

大豆は日本人にとって豆腐や納豆、味噌、しょう油の原料としての「食品用」のイメージが強いかもしれませんが、世界的には主に大豆を圧搾して生産する「大豆油」「大豆粕(大豆ミール)」の原料として利用されることが多いことから、油糧種子の一種として捉えられることが一般的です。

なお、一般大豆とは、米国で生産されて日本に輸入される黄大豆のことで、遺伝子組換え大豆又は遺伝子組換え大豆と非遺伝子組換え大豆とが分別されていない大豆のことをいいます。
ただし、非遺伝子組替え大豆よりも遺伝子組替え大豆の方が安価であることから実際に受渡しされるのはほぼ100%遺伝子組換え大豆です


 

大豆価格は、主要生産国の生産量に左右されますので、生産動向に注意する必要があります。

2015/16穀物年度の世界全体の大豆生産量は約3億1,236万トンと予測されていて、上位3カ国(米国、ブラジル、アルゼンチン)で世界の生産量の約80%を占めています。

世界の大豆生産量は年々増加傾向にありますが、特にブラジルの生産量が増えており、2015/16年度の生産量は2005/06年度の生産量と比較して、約1.7倍になっています。
ブラジルは農業振興策を積極的に行っていることから、大豆の生産量が増加しています。

・輸出について
 米国とブラジルが世界の輸出量の約80%を占めています。
 両国ともに年々輸出量を増加させています。

・輸入について
 中国の輸入量が急増しており、2015/16年度の輸入量は10年前と比較して約3倍になると予測されています。
 中国の輸入量が大豆価格の変動に与えるインパクトは大きいので、その動向には注視する必要があるでしょう。

大豆への新たな需要としてバイオディーゼルがあります。

バイオディーゼルは大豆などを原料として製造されます。

今後、環境保護や大気汚染問題などの問題から石油依存度を下げる対策として、軽油の代替燃料としてバイオディーゼルの生産と利用に注目が集まっています。

2009年から2013年にかけて大豆のバイオディーゼル需要が急増しており、今後も需要の増加が予測されていますので、バイオディーゼルの需要動向に注意する必要があります。

CBOT(シカゴ・ボード・オプ・トレード:シカゴ商品取引所)の大豆価格は、日本を含む世界各国の大豆の指標価格として各地の取引に影響を与えています。

東京商品取引所に上場している大豆の価格は一般的にはシカゴ大豆に連動する性質がありますが、東京市場で取引されているのは輸入大豆ですので、為替相場やフレート価格(海上運賃)等の輸入品であることに付随する要因の影響も受けながら、価格が形成されていきます。

日本の大豆は米国からの輸入依存度が高いため、フレート価格(海上運賃)が東京の一般大豆の価格に影響を与えることもあります。

価格変動の要因はフレート価格だけではありませんが、2013年1月から12月にかけて、フレート価格が42.8円から53.75円に上昇したとき、東京一般大豆価格も58,000円から67,190円に上昇しました。

逆に2014年1月~2016年6月のフレート価格は下落しました。この間、東京一般大豆価格も下落しました。